復興天守閣も60数年の歳月を経て老朽化が進み、平成7年から9年(1995〜1997)にかけて大規模な改修工事が行われた。建設当時の姿を甦らせて21世紀に残すことを基本指針とし、古いものを生かしながら新しい部材を補う、最新技術と非常に高い施工精度が要求される改修工事となった。  
改修前 改修後
 
 特別史跡である石垣に建物荷重の負担がかからないよう、工事の進捗に合わせ大阪城全体を真綿で包み込むようにセットバック鉄骨構台が架設された。
 
■屋根工事
 屋根は緻密な防水工事と銅板瓦の葺き直しが実施された。軒先金箔瓦(軒丸瓦、軒平瓦)はすべて新調され、緑青あざやかな銅板瓦(丸瓦、平瓦)は約55,000枚すべてを一旦撤去し、8割が清掃・修復のうえ再使用された。
■アルカリ回復工事
 将来の鉄骨鉄筋の腐食を防止するため、コンクリート内部にアルカリ溶液を浸透させる最新の電気化学的工法が採用された。塗布材による防食補修工法も併用し、コンクリートの耐久性が確保された。  
■外壁及び軒裏改修工事
 外壁は従来の壁を生かしながら剥落防止処置としてピンネット工法で下地処理され、1〜3層は漆喰塗り、4層は墨入りセメントモルタル薄塗り仕上げで仕上げられた。
■建具及び高欄改修工事
 窓等外部建具は全て耐久性に優れるカラーステンレスで新調された。また、8階展望階の高欄も黒色の自然発色が美しいステンレス製のものが新調され、回廊の床面も御影石貼りで改修された。
■錺金物改修工事
 大阪城の比類のない装飾的な特徴である伏虎と鯱は一時撤去の上、修理されて純金箔を3度押し、その他の錺金物は2度押しされて改めて取り付けられ、燦然と輝く黄金の輝きが甦った。
 
■内部改修仕上げ
 各フロアの内装が風格のあるデザインで美しく一新されたにとどまらず、大人数の観覧や高齢者・身障者への配慮から、展示空間の動線や照明、エレベーターの延伸・新設など設備や機能面も改善された。
■構造補強工事
 レベル2(烈震)を想定した耐震補強工事として、1〜4階に鋼板耐震壁を新設して大阪城の大黒柱を築造し、柱や梁には炭素繊維(カーボンファイバー)や鉄筋を巻き付けて補強を施した。
 
仮設鉄骨架台が撤去され始め、改修を終えたピカピカの天守閣が姿を現す。
 
 
車椅子に乗ったままで天守閣内に入れるよう身障者用エレベーターが小天守台西横に新設された。